第1章 four plus one
「麗華様専属執事のミルトです。そちらは全員いますか?」
「ああ。いきなりどーした?」
「少々緊急事態ですので、すぐにダイニングルームへ来ていただけると幸いです」
ミルトさんがそう言うと、受話器らしきものから、くぐもった元気な声が聞こえた。
「え?! 緊急事態って…麗華に何か…?」
「様を付けてください。失礼ですよ」
笑顔のままだけれど、少し雰囲気を変えてミルトさんが言うと電話の奥では「お、おう…。すまん……」とおびえたような声が聞こえた。
「急いでくださいね」
そうとだけ言うと、静かに受話器を置いてこちらへ向き、ニコリと笑うミルトさん。
その笑顔に少しだけ惚れた。
「すぐにあと3人が来ます。少しお待ちくださいね」
「あ、はい」
その後扉が勢いよく開いたのは、本当にすぐだった。