第1章 four plus one
大きなダイニングルーム。それに合った大きな長い机で、座っておいしいミルクティーを飲む。フワッと鼻の中で広がる香りが、私を安心させる。
「って、いや。安心してる場合じゃ無いじゃん…」
「…? 大丈夫ですか?」
私の斜め後ろで、にこやかに聞いてくる男性―――ミルトさんは「落ち着きましたか?」と優しく聞いてくる。
「あ…はい。ありがとうございます」
私はとりあえずお礼だけでもしないと…とミルトさんに笑顔で言うと…。
「れっれれ、麗華様! そんな…そんなお言葉、私には勿体ない…。ありがとうございます」
いや、お礼にお礼されても…。
「えっと…。まあ…はい」
自分でも何言ってるか分かんなくなってきた…。
さっき、このミルトさんと会った後、ミルトさんは「あぁ。ミルクティですか? とりあえずダイニングまで行きましょうか」と、私にはよく分からないことを言い、とりあえずこんな状況になった。
「あの…。唐突で申し訳ないんですけど……」
「はい。何でしょうか?」
えっと…。どうしよう。何て言おう……。
「…ここはどこで、私はどういう人物なんですか?」
そう聞いてみると、ミルトさんはキョトンとして、瞬きを数回すると、首をかしげなながら言った。
「…すみません。質問に質問を返すようで誠に失礼ですが、それを承知して言います…。…今日はどうされたのですか? 麗華様。不思議なことをおっしゃっていますが」
「いや…それが……」
「なるほど…」
私がこれまでの事を簡単に説明すると、ミルトさんは割と普通に納得してくれた。…こんなに簡単でいいのだろうか。
「……では、私達の事も分からないのですね?」
「え? 達って、他にもいるんですか?! 執事さんが!」
私が声を上げて聞くと、ミルトさんは笑顔で答えた。
「はい。私を含め、専属執事が4名。その他の使用人が50名おります。…この状況ですし、彼らは呼んだ方が良いですかね」
「彼ら…とは?」
ミルトさんは電話のような物を持ってくると「専属執事ですよ」と言い、ボタンをいくつか押した。