第4章 運動神経無いだけで
結構な長い間、エリックは周りを見回し続けると、「聞かれていない。ルーファスはいない」と判断したのか、小さく息を吐いて、私の方を見た。
「で、麗華ちゃんはどうしたの? 誰かに用ですか?」
「あっ。それが、部屋にいてもあまりにも暇だから、えっと………」
確か、エリックの専門は……。
「……武術…だっけ? 教えてくれる?」
「……!! もちろん! じゃあ今から! 今からやりましょ!」
「え…?」
エリックは手に持っていた箱を地面にズドッと置くと、ニコニコした顔で私の手を取って走り出した。
「えっ! エリック! ルーファスに頼まれたのはいいの?!」
「あんなの後で大丈夫!」
よほど楽しみなのか、ニコニコとしながらどこかへと走るエリック。
………。私の体力は大丈夫でしょうか…。