第4章 運動神経無いだけで
バフンっという音をさせながらベッドに勢いを付けて腰かける。朝食が終わってからどれくらいの時間がたったかも分からないまま、私はぼーっとしてみた。
「………」
暇だ。暇すぎる。
こちらの世界の麗華さんはどうやってこの『暇』をしのいでいたのだろう。少なくとも自室に引きこもりをしていても、暇が無くなることはないであろう。
やはり、4人の『専門』の中で何かをやっていくべきだろうか。
「……でも、誰か1人だけの専門をやってると、また今朝みたいに残りの3人がいじけるよね……」
しょうがない。
「少しずつ全部やってみるか!」
部屋を出て、少しだけ歩いてから、私はやっと現状に気付かされた。
「私ここのお屋敷の構成全然分かって無いじゃん…」
「広い」というかなり簡単なイメージしか持てていない私は、それなりに部屋から離れたところまで歩いて、やっとこの状況に気付いた。
「…うぅ…。一旦戻るかな…。………戻れるといいけど」
そう言ってくるりと後ろを向いて、私の部屋を目指そうと足を進めようとすると、後ろから扉の開く音がした。
「…! エリック!」
「え…? あぁ! 麗華ちゃんか。どうしたの?」
資料のような紙が入った箱を胸の前で抱え、足で扉を閉めるエリック。
「エリックこそ…それ、何?」
私が積み重なっている紙の束に指をさすと、エリックはムッとした顔で、自分の持っている箱を見た。
「ルーファスが持って来いだって。酷く無い? 自分の仕事なのに」
「へぇ…。あのルーファスが…。意外だね」
私がいかにも意外そうに言うと、エリックは「ルーファスはそういう奴」とため息交じりに言った。
「ルーファスが聞いたらどうなるだろうね?」
そう私が笑いながら言うと、エリックは…。
「……!!! ………」
緊張した顔で辺りをキョロキョロと見回し始めた。
「……聞かれて…無いよね。いないよね…ルーファス」
「…怖がりすぎでしょ…」