第3章 私と私
「ムスっ」
「……」
「……」
若干不貞腐れているようにも見とれる顔をして、タンコブを2つ付けたへクターと、私を交互に見る3人。
「…え、えっと……」
これはつまり、へクターと同じ対応をみんなにもすればいい…のかな…?
「あの…全員、名前呼び捨てでもいい?」
そう言った瞬間に、エリックさんの顔が輝いたのは言うまでも無い。
「麗華様の判決に抗う事はありません」
「……」
ミルトさ…ミルトは優しく笑って肯定、ルーファスは何も言っていないけど多分大丈夫。
「あ、あと、私に対しても敬語じゃなくてイイよ?」
「「それは駄目です」」
続けて提案をするも真面目2人から同時に否定をされ、転びそうになる私。しかしへクターとエリックは何でも無いような顔をしている。
「主である麗華様にそのような無礼なことは出来ません」
「え…でも」
「いいのいいの! ミルトとルーファスはそーいうキャラだから!」
エリックがルーファスを叩きながらそう言う。エリックはルーファスに凄い形相でにらまれているのに気づいていないよう。
「そ、そうかな…?」
まぁ確かに、この2人に呼び捨てで親しくされても、正直違和感が残る。
「あ、そうだ。ミルト。専門について、麗華に説明してあげてくれる?」
へクターは思い出したようにミルトに声をかける。すると、ミルトは「そうですね」と言ってから私の方を真っすぐ向いた。
「私達はものの全てをこなす執事ですが、やはり人ですから、得意不得意があります。なので、麗華様の趣味ややりたい事など、そういった面は、個別で指導をさせていただくようになっています」
いつも思っていたが、ミルトが話すと微妙に長い。
なんとか脳を話しについて行かせて内容理解すると、私は「簡単でいいから全員教えてくれる?」と問いかけた。
「分かりました」
ミルトさんは胸に手を当てて一礼した。