第3章 私と私
麗華side
ミルトさんが一気に話し終え、少しの間沈黙が流れた。
私は頭の整理をしながら最初に口を開く。
「つまり、麗華さんは、無くなった夫の方に変わって、国をまとめていたんだけど、夫の方を殺した人にここの傷をつけられて数日休んでいたと…。そういうことですか?」
首元、鎖骨の辺りに指をさし、私はそう尋ねた。
「簡単にまとめるとそのようになります」
軽く礼をしながら答えたミルトさんは、続けざまに口を開いた。
「しかし、今の麗華さまは、失礼ながらも政治については知らない部分が多くあるとみられます。なので、とりあえず私達が国については進めさせていただきたいかと…」
ここに来てから、何度か思った。
元々こちらの世界にいた麗華さんは、自分で解決をしてきていた。自らには力がないと思えば、人から習ってでも自分で努力をした。
私はどうであろうか。
この世界でも、私のもといた世界でも、そんなにも自分以外のために努力をした事があったであろうか。
否。無いのだ。
私は人に頼りすぎている。
私がそう考えながら黙りこんでいると、それを察したのか、へクターが慌てたように言った。
「れっ、麗華は、麗華だ。だから、こっちの世界の麗華とは比べなくていい。お前はお前だ」
「…へクター…」
―――私は私…か…―――
「ありがとう」
にっこりと笑って言うと、へクターが更に何かを続けようとしたが、エリックさんにより、それはさえぎられる。
「ってゆーか、なーんでそんなにへクターと麗華ちゃんは仲良くなったんですかー? いつのまに」
少しいじけたような顔を見せてへクターと私を見比べるエリックさん。それに同意するかのようにミルトさんはへクターをジッと見据えた。ルーファスさんは…無表情でよく分からないが…。
「えっ? 何々ー? 嫉妬? ねぇ嫉妬?」
「しっ…嫉妬じゃ無い!」
「わー図星ー」
ガコンっ!
ニヤニヤと笑っていたへクターの頭に、凄い音とともにゲンコツがふって来た。
「っったーー!!!!!!!」
「調子に乗りすぎだ」
ルーファスさんから。
「ルーファスだって嫉妬してるんだろー?」
ガコンっっ!!!
再びふってきました。