• テキストサイズ

four plus one

第2章 苦しみを忘れた少女



 麗華side

 「フィル…っ……! 嫌…っ!! …はっ!!」
 上半身をガバっと起こすと、鎖骨の右側の方がズキっと痛んだ。
 「うっ…。……これは…」
 痛んだところを優しく触れてみると、ザラリとした変な感触がした。
 そこを見ると、白くすこし汚れた包帯が巻かれている。
 「……」
 少なくともここに傷を覆ったのは間違いなさそうだ。
 周りを一瞥すると、どうやら私の部屋。あれから幾日経ってしまったのだろう…。

 とにかく、誰かを呼びに行こうと部屋を出ようとして、ベッドから足を下す。

 「…っ!! 麗華様…」

 扉の開く音がしてそちらを見ると、ルーファスが驚いた顔をして立っていた。

 「ルーファ…ス…。………っ゛っ!!!」

 立ちあがった瞬間に、再び鎖骨の痛みが全身に広がる。その痛みに顔を歪ませ、少し倒れそうになる。
 瞬間に、彼はこちらに動いて私を抱きかかえた。
 「…!! ルー、ファス?」
 「あまり無理をしないでください…。そんな状態で」
 一瞬にして彼に体を支えられ、何とか持ちこたえる。普段から何に対しても表情を変えない彼が、心配そうな声を私にかけてくれた時、私は目頭が熱くなった。
 彼の温かな体温が皮膚を伝わって、私の鼓動を早くする。

 「………」
 「……」

 「おーい! ルーファスー? ルーファ……ス…?!」

 不意にへクターの声が聞こえ、勢いよく部屋へ入ってくる。

 「えっ?!! ちょっ?! えっ?!!! お前麗華と何やって…!! ってか麗華も目ぇ覚ましたのかよ?!! ってそうじゃなくて…!! えっ?! でもっ…傷は?!! 大丈夫なのか?!! っていうかルーファスお前っ!!」

 「……相変わらずのようね…へクターは」

 「そうですね。相変わらずバカです」

 「はっ?! 何で?! 何でそうなった?!! 酷い!!」

/ 44ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp