第2章 苦しみを忘れた少女
ミルトside
「……」
沈黙がこんなにも辛く感じたのは…何時振りだろうか…。やはり、フィル様が無くなった時以来か……。
バンっ!!
扉の開く凄い音がし、そちらをバッと振り向く。
「…! 麗華は…大丈夫なのか……?!」
息を切らしながらへクターが入ってくる。
「…医療チームによると、一命は取り留めました。…が、まだ不安定な状態だそうです…」
いつもこっ酷く叱っている「様」付けのことも何も言わなく、私は寝ている麗華様に視線を落とす。
へクターの後から入って来た2人も暗い顔をしている。
「……。誰だよ…こんなことしたの…」
へクターが血が出んばかりにグッと唇をかみしめる。
「私が行った時にはもう誰もいなくて…。鎖骨辺りから大量の出血を…。っ!!」
私は自分の腕をギュっと強く握った。
「私が…。私がもっと早く行っていれば…!! こんなことには……!!!」
「やめろミルト。自分を責めるんじゃない。お前は悪くないだろう」
そちらを見ると、ルーファスが悲しそうな瞳で私を見ていた。
「…すみません。しっかりしなきゃだめですよね…」
私がそう言うと「いや。そうは言ってないが…。まぁ、いいか」という声が聞こえた。
「とにかく、麗華様の意識が戻るまで、国の指揮は私達がやりましょう。こんなことが知られたら、他の国に攻め込まれるのが落ちです。他の部屋で話しましょう」
そう言うと、3人は部屋をゆっくりと出た。
私は、麗華様を再び見て、両手に力を込めた。
「頑張って下さいよ…。麗華様」
そう一言だけ言って、私も部屋を静かに出た。