第1章 four plus one
「麗華ーー。おぉーい。れーいかーー! 起きろー!」
「んん…。もう無理…。食べれない…」
「…何食べてるの」
「無理だって…テストォ…お腹一杯ぃ…」
「ごめん言葉がおかしい事になってるけど?! 麗華ー! 起きてー!!」
少しきつく感じるドレスのようなものを着て、部屋を出る。
「はぁー。麗華起きるの遅いよー」
「ごめんって…。私寝起き悪いから…」
「寝起きって言うの? ねぇ。さっきのは寝起きと言うんですか? もはや起きてなかったと思うんだけど」
へクターとダイニングを目指し歩く。連なっている窓からは、温かな朝の日差しが入り込んでくる。すがすがしい気持ちのよい朝だ。
「ねぇ。そういえば、何で今日はへクターなの?」
「…ん? どーいうこと?」
へクターは止まって私に聞いてくる。
昨日の事もあったから、もっと気まずくなると思っていたのだけれど、へクターさんが前と同じ対応をしてくれるおかげで、あまり意識せずに会話ができる。
優しいなぁ。
「いや、昨日は基本的にミルトさんが私に付いて来てくれたから、なんで今日はへクターなんだろうなぁって」
ふたたび歩き出しながら私がそう言うと、へクターは「あぁそんなことか」とでもいうような笑みを見せてから話してくれた。
「俺達4人は、1日ずつ交代で麗華の執事をするんだ。あ、でも食事の時とか、非常事態とか、あと、専門系は別だけどね」
「専門って?」
続けて聞くと「それは本人からでいいかな?」と笑い、いつのまにか目の前まで来ていたダイニングの扉を開いてくれた。
「「「おはようございます」」」
「…お、おはようございます」