第1章 four plus one
寝慣れないベッドで寝がえりを何度もうつ。とてもやわらかいんだけど、どうも寝付けない。
あの後、ミルトさんの「今日はもう遅いですし、細かい事は明日にしましょう」という提案により、私は部屋へ戻って来た。
「……これから私…どうなるんだろ」
起き上って言ってみる。でも答えはどこからも返ってこない。
「はぁ…」とため息を吐いてから、がんばって寝ようと布団をかぶろうとした時。
「ガチャッ」
ドアを開けて、ノックも無しにへクターさんが入って来た。先程の執事姿とは違い、少しラフになったシャツ姿は、彼の容姿とよくあってると思う。
「あれ? 起きてた?」
「はい…。あまり寝付けなくて…」
そう言うと、へクターさんは「なんだー」と大げさに落ち込んだように肩を落とした。
「せっかくのチャンスだから、襲いに来たのにさー」
「…え?」
どういうことですか、と私が聞く暇もなく、へクターさんは私の唇に唇を重ねた。
「んんっ?!」
驚きすぎて私は少し反応が遅れるが、へクターさんの肩を押して離そうとするが、男の人にパワーで勝てるはずがなく、そのままベッドに押し倒される。
「んんーっ! はっ!! な、何するんですか!」
やっと唇を離してくれたへクターさんに私が抗議すると、へクターさんはニッと笑った。
「何って…ねぇ」
「や、やめてください! こんな事…」
私がそう言うと「でもあいつらも狙ってると思うよ? 麗華の事」とへクターさんは言った。
多分、あいつらとは、あの3人の事だと思うんだけど…。私ってここの人たちにとってどんな存在なの…?
そんなことを考えてるうちに、へクターさんは2度目のキスを私にした。
「んんっ…」
さっきのとは違う。濃厚なキス。
「…俺、ずっと麗華の事好きだったんだ。まあ、今伝えてもあれなんだけど…。これはチャンスでしょ?」
口を離してからあやしげに笑って見せるへクターさん。
そして、またへクターさんは私にキスをしてきた。