デジタル世界に迷い込んだ選ばれし8人の他にあと二人いた?
第8章 人間界とデジタルワールド
☆☆~秋side~☆☆
小姫が人に怒鳴ったところを初めて見た。
小姫は人と争うのを好まず、何かあっても困った顔で笑うか、冷静にその場を逃れるだけだった。そんな小姫が怒鳴った。怒りを顕にして。
先ほど前線で初めて戦ったミミならば感じたであろうエテモンの圧倒的な強さに恐怖するのも無理はなく、それに気づかない小姫ではないだろう。いつもだったら気づいていた。
うつむいてただ涙を流し、誰がなんと言おうと涙は止まらなかった。
「…………エテモンの攻撃でなんか消える感じがしたんだ。」
消える感じ。小姫は確かにそういった。そして、通路の中で小姫が言おうとした言葉とエテモンの言葉は俺を動揺させるものだった。
「…………アキ」
ライモンも同じことを考えていたらしく心配そうに俺を見る。
俺はとてつもない不安に襲われた。