デジタル世界に迷い込んだ選ばれし8人の他にあと二人いた?
第8章 人間界とデジタルワールド
「………それで?どうしたんだ」
秋くんが私の頬をつねる。
……これはごまかせない。
秋くんの不機嫌そうな顔を見て悟った。
「…………エテモンの攻撃でなんか消える感じがしたんだ。」
「………パクモンか。」
あの目つきの悪いデジモンはパクモンというらしい。私は頷く。
「多分。エテモンの仲間だと思ってそのままにしてたんだけど…………連れてくればよかったな」
私がうつむくのを見て、頭をぽんと撫でる秋くん。
「連れてくる?なんで?あいつら敵だったんでしょ!?」
まるで死んで当然のようなミミちゃんの言い方に思わず反論する。
「そんな言い方しないで!!敵だったとしても死んでいいわけないよ!」
「で、でも!連れてきたらまたあいつが来るわよ!今度きたら私たちの方が死んじゃうかもしれないじゃない!!」
「だからと言って死んでいい命じゃない!!勝手な事言わないで!!」
「これは戦いなのよ!どちらかが死ななきゃこの戦いは終わらないのよ!そんな考え方おかしいわ!」
「だから犠牲がでるのはしょうがないって言いたいの?じゃあ、ミミちゃんはこの中の誰かが死んでも同じこと言える?仕方が無いって言えるの!?」
「そ、そんなこと……」
「同じことよ!!あの子達だって家族はいるし仲間だっている。私たちと何も変わらない。考え方がおかしいのはミミちゃんの方だよ!」
「ちが………私は………私は………」
「ミミ!?一人じゃ危ないわ」
涙をいっぱい溜めミミちゃんは走って向こうへ行ってしまった。慌ててパルモンとコウシロウくんたちが追いかける。
「…………小姫ちゃん。」
ソラさんが私の頭を撫でる。
「大丈夫だって!仲間を攻撃するやつなんていないさ。パクモンたちだって逃げ切れてるよ。」
「…………そうだね。」
……いや。逃げ切れてない。逃げようともしていない。当たり前、だってパクモンたちはエテモンに攻撃されるなんて思ってもいなかったんだから。私の中で命が消えた嫌な感じが未だにある。パクモンたちは消えた。それは間違いないのだから。
私はただ涙を流した。