デジタル世界に迷い込んだ選ばれし8人の他にあと二人いた?
第8章 人間界とデジタルワールド
☆☆~ジョウside~☆☆
小姫ちゃんと僕は暗い森の中を松明の光頼りで歩いていく。
「こ、怖いよぉ」
ユタモンが小姫の腕の中で震えている。
「大丈夫大丈夫。何かあったらおいらが守ってやるさ!な、ジョウ」
と励ますゴマモン。僕はそれに微笑み、真っ暗な先を見る。
「………太一たちはこっちへ行ったのかな?」
行き止まりとかある洞窟だったら分かり易いのにとぼやく。
「はい。太一さんはこっちへ行きましたよ。」
それににっこりと答える小姫ちゃん。やけに自信あるなと不思議に思うと
「ほら。足跡があります。ちょうど人数分です」
足元を指さして彼女は言った。確かにある。
何も考えもなく森へと足を踏み入れた僕とは違い、彼女は確かな確証を持って森へと入ったのだ。
「………すごいね、小姫ちゃん」
先ほどの自分もついていくというその考えと提案したときもそう思ったが、彼女の行動力と判断力はとても小学生……もとい、年下とは思えない。思わず感嘆の声を出す。
「そうですか?私はジョウさんの方がすごいと思いますよ?」
「えっ?ぼ、僕??僕なんて全然……」
「そんなことないです!危険を顧みず、友達を助けに行くジョウさんはすごいと思います。自分の意見を曲げないところもすごいと思いますし。こうやって私が歩きづらくないように歩幅を合わせてくれる優しさもすごいと思います。」
にこっと笑う小姫ちゃん。顔が熱くなっていくのがわかる。
「そ、そそそそそんなこと………」
「ジョウさんはもっと自信をもつべきです。ジョウさんはご自分が思ってるよりすごい人なんですよ。」
頭の中に兄たちと比べられる自分が思い浮かんだ。自分は今まで駄目なやつなんだと思っていたし、言われもしてた。だけど君は…君たちは…
「……兄妹揃って同じ事言ってくれるんだね」
「コヒメー!つーかーれーたぁ!抱っこしてー」
「だめー!コヒメの抱っこは僕のものなのー!!」
話に入れないでいたので拗ねたのだろうゴマモンが、小姫ちゃんの足に絡む。それにユタモンが可愛い顔をゆがませて、ゴマモンに唾をはく。途端に喧嘩になった。
「あーあーあー!すみません、聞き取れませんでした。なにかおっしゃいましたか?」
小姫ちゃんがそれをおさめながら、困った顔で聞いてくる。それに僕は笑って、
「いや。ありがとね。」
と言った。