デジタル世界に迷い込んだ選ばれし8人の他にあと二人いた?
第6章 バラバラになった仲間と目指せスパイラルマウンテン
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秋くんは女子に限りなくモテる。本人にその気がないことは知っていますが、その風貌と性格は女子を引きつけるのには十分だった。
「秋くぅん!」
好みは顔がいい男子ときっぱりと言う人に僕なんて勝ち目がないことくらい分かってるつもりですが、さすがに目の前でやられると調子が崩れますね。
秋くんも面倒身がいいので、ミミさんを邪険にせず丁寧に教える。
「………はあ。」
思わず大きなため息。
「コウシロウくんもう疲れたの?」
いつの間にか秋くんはいなくなっていて、ミミさんが話しかけてきた。
「あれ?秋くんは?」
「秋くんなら小姫ちゃんのところに行ったわよ?」
ああ。秋くんなら有り得る。
「いいんですか?ついて行かなくて。」
「ついて行ったらコウシロウくんが怒るじゃない。」
…………いや、怒る前に落ち込みますね。
なんては言えず
「まあ。そうですね。」
とだけ言う。
「あーあ。ほら、さっさと終わらせましょ。」
ミミさんが珍しくやる気になる。腕まくりした腕は白く、細い。僕の腕とは大違いだ。
「………ミミさんって秋くんのことが好きなんですか?」
つい聞いてしまった。どうせ聞いても落ち込むに決まってるのに。
「んーそうねー。分かんない!」
「は?」
「なによー。だってそうだもん。恋とかいわれても分かんない。」
ふくれっ面になるミミさん。その時、ミミさんの帽子が風に飛ばされ、白い肌が太陽に照らされた。なびく髪はそれはとても美しく、目を奪われた。あーあ。僕を…………
「…………くを………」
「へ?なに?」
「………僕を好きになればいいのに……」