デジタル世界に迷い込んだ選ばれし8人の他にあと二人いた?
第6章 バラバラになった仲間と目指せスパイラルマウンテン
☆☆~秋side~☆☆
昔の夢を見た。父さんがまだ生きていて、小姫の母ちゃんがまだ元気だった時の夢。
「……秋は小姫ちゃん好きか?」
父さんが俺を肩車して言う。
「………」
俺は頷く。
「………賢いお前なら気づいているだろうがな、小姫ちゃんのお母さん病気なんだよ。小姫ちゃんもその病気なんだ。」
「………永くないの?」
「………今は元気そうに見えるんだけどな。」
「……小姫も?」
「…………ああ。だけど、医学は進歩してきている。だから、大丈夫だ。」
「…………うん。」
「………でもな、お母さんが倒れると大変なのは、小姫ちゃんとお父さんだ。お前は小姫ちゃんをしっかりと支えてあげるんだよ。いいね?」
「…………わかった。」
子供ながらに感じた緊張感。きっと父さんには分かっていたんだ。小姫の母ちゃんがもう永くないこと。だけど、小姫の母ちゃんが亡くなる前に事故で父さんは死んでしまった。
父さん。俺はどうしたらいい?小姫の母ちゃんが死んで、小姫は倒れるようになった。その回数が増える度俺は不安になる。小姫が時々どこかへ消えて行ってしまうようなそんな気分になる。
「小姫ちゃんをしっかり支えてあげるんだよ。」
支えるってなんだろう。そばにいてあげることだろうか。
父さん。母さんは小姫の父ちゃんと結婚するよ。
あれから3年、もう母さんは父さんのこと好きじゃないのかな。小姫の父ちゃんもそうだ。小姫の母ちゃんが倒れると涙目になっていたのに2年足らずで忘れてしまうものなのか?死者は忘れられるべきなのか?ねぇ、父さん。
俺を支えてくれる人はどこにいるんだろう。