デジタル世界に迷い込んだ選ばれし8人の他にあと二人いた?
第2章 初めてのキャンプ場での初めての友達
私の名前は市川小姫。今日は待ちに待ったキャンプの日!
お医者さんに頼み込んでやっと許可を貰って来た。幼馴染みの秋くんに着いてきて、今日から三日間お父さんとお母さんなしで外でお泊まりするんだ。
「小姫、大丈夫か?」
バスに揺られながら、隣の席の秋くんが声をかけてきてくれる。
「うん。大丈夫!あ、秋くんポッキー食べる?」
差し出すポッキーを二本とって食べる秋君。すると
「あー!俺も食べたい!」
と秋君の向かって隣の男の子が身を乗り出した。私は笑ってその男の子にポッキーを差し出す。
「うおっ!いいのか?サンキュー」
男の子はにこにこしてそれを頬張った。
「小姫こいつにはあげなくていい。すぐ調子にのるから。」
なにをー!っと男の子がムキになり、その隣の赤髪の男の子が慌てて止める。どうやら秋君の友達のようだ。
「友達?いいや、知り合い以下だ。」
秋君のいつもの毒舌に苦笑する。
「お前年下のくせに生意気だぞ!」
「その年下に得意のドリブル破られたのはどこの先輩でしたっけ?」
「なっ!?あ、あれは…………たっ………たまたまだ!次は絶対にお前に勝つ!!」
「太一、バスの中で寝てる奴もいるんだ静かにしろ。」
後ろの席の男の子が注意した。どうやら、秋君の知り合い以下というこの人は太一というらしい。
「おっとやべ。」
私はくすくすと笑って、再びポッキーを差し出した。
「良かったらどうぞ」
「おっ!サンキュー。俺太一ってんだ。お前は?」
「私は市川小姫と言います。よろしくお願いします。太一さん。」
「あーあー。敬語はやめてくれよ。あと、太一でいいよ。小姫」
お父さん、お母さん!初めて秋君以外と友達ができました!