第6章 先生と生徒

______ミーンミーン…

ジリジリと照り付ける太陽が眩しい。

ついこの間入学したばかりの気分だが、季節は夏となりもうすぐ夏休みになろうとしていた。

「唯〜夏休みどこか遊びに行こーよ」

彩葉ちゃんは配られた夏期講習の予定表を見ずに鞄に押し込む。

「彩葉ちゃん、ちゃんとプリント読もうね」

プリントを指差してそう言うと彩葉ちゃんはムッとした表情になる。

「まだ高1の夏じゃん！全然ヨユーだよ！」
「期末テスト赤点何枚あったけ？」
「うっ…そ、それは……」

明後日の方向へ目を向けた彩葉ちゃんに友永君がバシッと頭を叩いた。

「ホント九条さんの言う通りだぜ、お前みたいなバカは夏中家で勉強してろ」
「アンタ…人の事言えないでしょ〜！私は赤点2枚、アンタは4枚じゃないの！」
「うっ…！」

いつも喧嘩をする二人だけど今回はどっちもどっちな気がする。

「そういうのを"どんぐりの背比べ"って言うんじゃないのかな？」

その言葉に振り向くと五十嵐君がニコニコ笑顔で立っていた。

ただし目は全く笑ってないけど。

「俺が君達の勉強を見たのにもかかわらず、どーして君達はいっつも学習しないのかな？」
「「あの…光輝さん……？」」

珍しく怒っているお陰で二人共うろたえている。

「分かってるよね？夏休みは俺が二人にしっかり勉強させるからね」
「「は、はい…」」

こうして友永君と彩葉ちゃんは夏休みの強制学習を余儀なくされる事になったのでした。

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「んー世間は夏休みですか…」

そう言って蓮はぐーっと伸びをする。

「お前も手伝えって」

そう言うと仕方なさそうに蓮は俺のところへやってきた。

「なに、これ運べばいいの？」
「うん、あとこっちも」

テーブルに並べられた他の料理も運ぶよう指示する。

「てかさ拓也ちゃん大分料理上手くなったのね」

蓮は料理を見つめしみじみと呟く。

「お前が何もしないからな」

嫌味を込めてそう言うと蓮はへへっと笑う。

「でも、唯ちゃんだっているし？俺が作る必要ないかなって」
「あぁ、九条はダメだよ。料理できないから」

そう言って笑うと蓮は興味深気に俺の顔を見た。

「ふーん、唯ちゃんの事よく分かってるんだ」