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ありがとうが言えなくて

第4章 思い出してる、思い出せない


 









 嫌。やだ…。見たくない。何で…。やめてよ…。

 
 「あんたがいけないんだよ」

 
 そうだ。私が…私が亮に頼ったから…。だからこんなことに。
 
 血の嫌な匂いと、目の前にある、もう生き物では無くなったモノが、現実を思い知らせる。

 
 「あんたが告げ口しなきゃ、こいつはこんなことにはならなかった」

 
 嫌だ…。見せないで。どうして亮を…。どうして…。なんで…。

 罰なら私が全部受けたのに…。どんなにつらい事があっても、よかったのに…。どうしてこんなことに……。
 
 「あっ…あぁぁあぁ……嫌あぁ…」
 
 
 
 大切なモノを失うのは、辛い。
 だから……最初からそんなモノいらない。もともと無ければこんなにつらい事は無い…。

 だから…。
























 知られるぐらいだったら、嫌われるぐらいだったら、無くなってしまうのだったら………








































 『私はそれを、もともと無いようにしてしまえばいい』

































 「いやああぁぁあぁあぁぁぁああぁああぁぁぁあああぁぁぁああぁ!!!!!!」



















































 ごめんね…。亮。


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