第1章 日向夢小説
雲雀の言ったのは本当なのだろう。
でもきっと。
一番の理由は別なところだ。
「おいで」
雲雀の手を引き、長い廊下の奥へと連れる。
側に控えていた火影には下がらせて
ただ二人きりで自室へと導き…
パタン、ふすまがしまった途端
雲雀は日向の大きな胸へと抱き着いた。
「兄上、ずっとお会いしたかったです!」
「こんな夜にお外に出られて体は冷やされてませんか?」
「私は今とても幸せです…」
「でもこんな時間に兄上のお部屋にお邪魔してごめんなさい」
雲雀の背を優しく撫でて、
少し背伸びをするように見上げてくる表情を見つめ返す。
「長丸に会いたいというのは嘘で、本当はあにう…」
え、と口にする前に唇を塞いでやる。
おとなしく瞳を閉じて受け止める雲雀を
そっと布団へ組み敷くと、
「二人きりなのだ。兄上ではないぞ」
もう一度雲雀へ口づける。