第1章 日向夢小説
何度も互いの名前を呼び、何度も唇を重ね、何度も抱き合って―――
まだ火照っている雲雀の体を抱いたまま
うとうととまどろむ。
本当は早く家光の部屋へと帰してやらねばいけないのだろうが、
いっそこのまま朝まで抱いていたいとも思う。
―妹が兄の部屋で眠るだけだ。何がいけない。
そんなことだけ兄妹でいることを利用しようとする自分がおかしくて
なおのこと雲雀をしっかり包み込んでしまう。
「日向様…?もう寝てしまわれましたか…?」
ごそごそと体の向きを変えて頬を摺り寄せる雲雀。
いや、寝ていない。
しかしお前を離したくないのだ。
そんな気持ちで狸寝入りを続ける。
「日向様と本当の兄妹でなくて良かった…」
「だって、もし日向様が兄上だったらこんな風に愛し合えませんよね」
「わたし…すごく幸せ…」
雲雀の呟きを聞きながら、
こちらこそ、すごく幸せだよ、と優しく抱きしめ返すのだった。
fin.