第6章 キライ、キライ...
クミという女がプールから出て行った
ここには、私と男が3人...
1人は金属バットを持っている
これからの事を想像すると、唇が自然と震えた
「さてと、どうすっかな...」
亮はそう呟いて私を見下ろす
他の2人の男は、亮の後ろで黙って立っていた
「お前、椎田あゆだっけ?」
座り込んでいる私に近づいて目線に合わせるように亮も腰を下ろした
何をされるか分からない恐怖に声が出ない
体を震わせながら彼の問いに首を縦に振った
「学校中からイジメ受けてんだろ?可哀相にな...」
そう言って私の頭を撫でてきた大きな手
(え...?)
先ほどまで、クミという女に見せていた表情とは違う優しい顔に私は少しホッとした
(この人、本当は優しい人なのかな...?)
「ほら、立てるか?」
頭を撫でていた手が目の前に差し出される
私は何の疑いもなく、その手を掴んでしまった...