第6章 キライ、キライ...
「追いかけなくてもいいの...?」
廊下へ出て小さくなるあゆの背中を見ながら駿がそう問いかける
「今追いかけても嫌がられるだけだ...」
「1人にするのも心配だけど」
その言葉が気になった恵は真剣な眼差しを駿へ向けた
「駿...教えて欲しい。あいつ、俺に何隠してんの?」
あゆが自分に何か隠している事は気づいていた
周りの生徒の様子も...ここ最近ずっと変だ
日に日に細くなっていく体も、弱弱しくなっていく表情も...ずっと気になっていた
でも...ただでさえ縛り付けて苦しめている俺が、あゆの心の中に踏み込むことなんて出来なかった...
「何日か前から、体の痣が増えてるんだ...。あいつは転んだって言ってたけど、その事もさっきのと関係してるんだろ?」
「...恵はどうしたい?あゆちゃんの事、傷つけたくない?」
駿の言葉に恵は静かに目を伏せる
そんな恵を見て、駿は静かに口を開いた
「恵次第で、あゆちゃんを助けてあげられるかもしれないよ?」