第6章 キライ、キライ...
「落ち着いたか?」
いつもの事が嘘みたい...
雨宮君が優しく問いかけると私の顔を覗き込んできた
これは...夢なのかな?
こうなったらいいなって、私の願望が強すぎて
夢見てるのかな...
雨宮君が裏表の無い優しい人だったら
こんなに辛い思いしなかったのにって......
「あゆ。何があった?」
そう聞かれて思わず視線を逸らした
あゆの反応に恵は眉をひそめる
「てか...何で濡れてんの?」
「...靴、洗ってて。間違って水かぶっちゃったの」
あゆの言葉に恵は更に眉を寄せた
「間違う訳ねえだろ...。その前に、何で靴なんか洗ってたんだよ」
「それは...」
ぐっと押し黙るあゆを見て恵は駿へと視線を向けると、駿はただ眉尻を下げるだけだった
「泣いてた理由は?」
「......」
頑なに口を開こうとしないあゆ
唇を噛みながら俯いていた
そんなあゆの様子を見て恵は嘆息する