第6章 キライ、キライ...
「あゆっ!」
再び腕を掴んで今度は強く引き寄せる
駿も追いつくと2人の後ろで様子を見ていた
「いやっ...離してってば!」
「嫌だ!」
恵は半ば強引にあゆを抱きしめると、髪と制服が濡れている事に目を細めた
「お願い...離してよ...」
自分の腕の中で涙を流すあゆを見て恵は抱きしめる腕の力を強める
「絶対離さない...」
こんなに...悲しそうな表情を見るのは初めてで
どんな時もしたたかなあゆが、自分の腕の中で涙を流しながら小さく震えている
恵はあゆが壊れそうだと感じた
始業のチャイムの音が鳴り響き、恵と駿は生徒会室へとあゆを連れて行った