第6章 キライ、キライ...
「...武本君も、被害受けちゃうよ。さっきのも見られちゃったし...」
「受けないよ。俺強いから」
そう言った武本君の言い方が何だか可愛くて、思わず笑ってしまった
「あ、やっとちゃんと笑ったね」
「え...?」
その言葉に目を見開いた
「だって、無理して笑ってんだもん。バレてないとでも思ってた?」
彼は切なげに眉を下げて微笑んだ
「ずっと嫌がらせされてるんでしょ?」
私の事を気遣ってくれている声色に胸がズキッと痛くなった
「大丈夫...。もう結構慣れてきたし」
「こんなの慣れるもんじゃない。慣れちゃダメだよ!」
そこで会話が途切れると水を流す音だけが辺りに響いていた
「恵には...言わないの?」
「...うん」
「どうして?」
(どうしてって...)
「雨宮君にだけは言いたくない」
「恵に迷惑かけたくない?」
駿の言葉にあゆは目を細めて俯いた