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恋愛玩具

第1章 プロローグ




出て行こうと背を向けた彼が立ち止まった姿を見て慌てて口を塞いだ

(そうだ!同じクラスの雨宮恵君だ。そして、新しく生徒会長になった人...)

2年生になって同じクラスになってから彼の存在を知ったけど...
先生からの信頼もすごくて、生徒会長になった時はすごい騒ぎだったな

ファンクラブもあるって噂もあるし...
そういえば咲綺も格好いいって言ってたな、私が知らなかったことに対して「興味ないことに対して知らなさすぎ」ってすごく驚いてたけど......

今初めて近くで見たけど、あまりにも綺麗な顔立ちに驚いた

教室にいるのは授業中くらいでほどんどいないし...
まぁ、いても女子に囲まれて大変なことになるだろうけど

「あのさ」

彼の声にハッとする

気付いた時には、彼は机に資料を置き私の目の前に迫っていた

「あ...えっと。名前、思い出せなくて......」

正直に告げたことを後悔する
無表情だった彼の眉間が僅かに寄せられた

怖くなって後ずさると窓が背中にあたって逃げ場を失ってしまった

彼はゆっくりと私に近づくと深く嘆息する

「同じクラスの俺の名前を覚えていないなんて...」

顔をぐっと近づけてきた瞬間、彼の手が窓を叩いた

「...っ!」

思いきり目を瞑り肩を竦める

(怖い...)


「最低だな」

頭上で低く囁かれた言葉は
感情がなく、抑揚のない声だった


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