第5章 苦痛な日々(R18)
先生の前、生徒の前ではいい人を演じる雨宮君
でも、さっきの雨宮君は私と居るときと変わらなかった
...て事は、武本君の前でも素の雨宮君だったって事、だよね?
1人難しい顔をしている私を見て、武本君は可笑しそうに笑った
「...っ!?」
突然笑い出した武本君に私は目を瞬かせると、彼は首を傾げるように私を覗き込んだ
「あゆちゃん、戻んないの?」
「あ...戻り、ます」
初めて話すのにあっさりと下の名前にちゃん付けで呼ばれて思わず言葉を詰まらせてしまう
「じゃあ早く行こうよ」
武本君はにっこりと微笑むと先に教室を出て行ってしまった
この時、私は凄く驚いていた
雨宮君とのこと...何も聞かれなかった
それに武本君は、素の雨宮君の事も知っている
(武本君と雨宮君って...どういう関係なんだろう)
ただ、何も聞かれなかったとしても黙っていてくれるとは限らない...
早く口止めしないと誰かに言われたら本当に困る
さりげなく武本君に近づかないと...
そう思いながら、私も2人を追うように教室を出た