第4章 玩具
「...わかりました。行こう、椎田さん」
先生の表情に見入っているとグイッと引っ張られた
保健室を出る瞬間に先生をチラッと見ると
ほんの一瞬...切なげにこっちを見る先生と目が合った
心なしか雨宮君も先生に対してよそよそしかったような...そんな気がした
雨宮君に引っ張られながら奈々先生と雨宮君の様子を思い出す
(私のこと待っている間も特に会話もしてなかったみたいだったし...)
そこで我に返ると、雨宮君の腕を強引に振り払った
「...あゆ?」
「今日は色々とありがとう。雨宮君、先に戻って」
こういうのって...普通にしようって意識したら逆にぎこちなくなる
今の私の笑顔は自然にできてるかな...
「お前な...」
雨宮君が深く嘆息すると目を細めた
「そもそも私をずっと待ってるのも変だし...。私が一緒にいる事で悲しむ女の子がたくさんいるんだから、その子達の事も考えてあげなよ」
私はそう告げると体育館とは逆の方へ歩き出した
しかし...
「あゆ」
簡単に腕を掴まれて引き止められてしまう