第4章 玩具
暫くして、ようやく鼻血が止まると私は急いで洗面器を洗い先生に返した
「ありがとうございました!もう大丈夫です!」
早く戻りたい一心で思いきり頭を下げると目の前が真っ暗になる
ヤバイと思った時には体がふらついていた
「あっ、椎田さん危なっ...」
よろめいて転びそうになると誰かに抱きとめられる
誰かって...1人しかいないけど....
「大丈夫?」
頭上から聞こえた声にパッと顔を上げると雨宮君が心配そうに覗き込んできた
「だっ...大丈夫です!それじゃ、私戻りますから!!」
雨宮君を払うように離れ、慌てて保健室を出て行こうとすると腕を掴まれ引き寄せられた
「...っ!?」
(先生が居るのにっ...!)
雨宮君を軽く睨みつけ、目で”離せ”と訴えるとそんな私を見て彼は目を細めた
「...そのままで行くつもり?」
雨宮君の言葉に私は眉を寄せ固まった
(そのまま...?)