第17章 優しい嘘、切ない嘘
顔に影がかかって距離が近づくのを感じる
彼の吐息を感じて体を強張らせた...が、唇は触れ合うことなく雨宮君の指は離れていってしまった
(...えっ?)
目を開けると雨宮君は私から体を離し、視線を合わせようともしてくれない
「雨宮く...」
「勇介たち、戻ってきた」
何も聞くなとでも言うように遮られた言葉に、胸がズキンと痛んだ
(私の...勘違いだった...?)
恥ずかしさが込み上がってきて顔が熱くなるのを感じるのと共に目に涙が滲む
雨宮君の視線を辿って前を見ると3人の姿が見えた
武本君が手を振った瞬間、雨宮君は立ち上がり歩いていってしまう
残された私は、遠くなる後ろ姿をただ見ていることしか出来なかった
楽しそうに話す4人
雨宮君がこっちを一瞬見たあと、山口君が私の方へとやってくる
「隣、座っていい?」
近づくなり心配そうに顔を覗き込んでくる山口君
いつも優しく気遣ってくれる彼に余計な気を遣わせないように
泣きそうになっていたことがバレないように...私は微笑み頷いた