• テキストサイズ

恋愛玩具

第1章 プロローグ




-2時間前-


「あゆ!聞いてよっ!」

大声で私の名を呼び、近づいてきた彼女は木村 咲綺(キムラ サキ)

中学からの友達で、高校2年生になって違うクラスになった今でも
いつも一緒にいるほど仲がいい私の親友

「どうしたの...?」

私は彼女を見て目を丸くした
というのも、今は放課後でテニス部に所属している咲綺は部活に行っている時間だから

私は部活には入っていないため
咲綺を待っている間いつも教室で漫画を読んでいた

「来月にテニス部の部室が改築される話したじゃない?その為に部室の移動を来週にするって皆で決めたのに、今日になって男子が”今日する!”って言い出して今からする事になっちゃったの!!」

咲綺の怒りがストレートに伝わってくる...

(いつもより口調が早くなってる...)

「そ、そうなんだ...」

「うん...。それでね、今日はいつもより終わるの遅くなるっぽくて...。私、新部長だし移動した後も色々やらなくちゃいけなくて何時に終わるか分かんないの...。だから...あゆどうするかなって...」


(あ、...そういう事か)


私の目の前で、咲綺は申し訳なさそうに表情を曇らせ私を見つめてきた

「あゆ...ごめんね。無理に待っててとは言わないよ...」

反応の無い私に必死に謝ってくる咲綺

咲綺が悪いワケじゃないのに、
彼女がそんなに私の事を考えてくれる事がすごく嬉しかった

「ううんっ!私は大丈夫だよ。ちゃんと咲綺のこと待ってるから!」

にっこりと微笑むと暗かった彼女の表情がパッと明るくなった

「ありがとうっ!あゆ大好き~っ」

ぎゅっと私を強く抱きしめると、咲綺は「じゃあ行ってくる!」と手を振り教室を出て行った

私も手を振り返すとまた漫画を読み始める



この時...帰っていたら、
あんな事にはならなかったかもしれない......


/ 311ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp