第16章 動き出した運命
「俺さえ、いなければ...」
苦しそうに搾り出された呟き
鼻をすする音
雨宮君は過去のことを全て、罪として背負っている
そして...
生まれてきたことさえも罪だと思っている
「俺さえ生まれてこなければ、誰も...傷つかなかった。駿だって、俺に振り回されることなんてなかった。璃央だって梨奈のことを嫌うこともなく...苦しい思いをしなくて済んだんだ。梨奈も....」
言葉が途切れた瞬間
私の右手の甲にぽたりと涙が落ちた
「死ななかったのにっ...」
私の肩口に額を押し付け、肩を震わせる雨宮君の髪をそっと撫でる
「私は、雨宮君に出逢えてよかったって思ってるよ」