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恋愛玩具

第16章 動き出した運命







『梨奈っ!!』

葵と共に病院に駆けつけると
梨奈の母親は泣き崩れ、父親は肩を抱き寄せ涙を浮かべていた

その傍らで呆然と立っている璃央へと駆け寄る恵

『璃央っ、梨奈は...梨奈はっ!?』

璃央の肩を掴み問い掛けるが、反応は無い

この状況を見れば...答えは分かっていた

でも...
信じたくなかった


璃央から手を離し、おもむろに手術室へ続く扉の前へと向かう

『恵様っ...』

葵の声が背後から聞こえた瞬間
手術室の扉が開き、最も会いたくない人が目の前に立っていた

『....父、さん』

こちらを冷たく見下ろしてくる瞳は、ゆっくりと他の者たちにも向けられた

『お前の知人か』

再び自分を捉えた蔑むような目
その瞳には、自分の息子が映っているというのに...

『哀れだな』

そう呟くと、父親は廊下の向こうへと歩いていった

まるで...
“お前が元凶だ”とでも言われているような
そんな父親の言葉が耳から離れなかった

遠のく父親の後姿を見ながら
恵は膝から崩れ落ちるようにその場にへたり込んだ

俺が...

俺がいたから、梨奈は...


みんなは...






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