第16章 動き出した運命
「では、そろそろ行きますね」
「あっ...。璃央ちゃんにも、よろしく伝えてください」
慌てて言った私の言葉が意外だったのか
葵さんは一瞬驚いたように目を見開いた後、微笑んで頷いた
「ええ、しっかりお伝えします。お元気で...」
丁寧に会釈をした葵さんが背中を向け歩いていく
なんだか...本当に、色々あった...
璃央ちゃんたちが来てから今日までのことを思い出していると、顔を覗き込んできた武本君がにっこりと微笑んだ
「俺、葵たち送ってくるから。あゆちゃん、恵のとこ行ってあげて」
コンコン
緊張からか、震えた手で扉を叩く
遠慮がちなノックの音に返事はなかった
(寝てるのかな...?)
そっと扉を開け中を覗いてみると雨宮君と目が合ってしまった
「あゆ!」
「あ...、開けちゃってごめん...」
「いや...。入って」
その声に促され室内へと入ると、ベッドの傍らに置かれたイスへ腰掛けた
「駿は?」
「葵さんたちを送ってくるって...」
「そうか...」
気まずい空気が漂っているのを感じて、会話が途切れてしまう