第15章 崩れゆく嘘[下]
(...あれ?)
ゆっくり目を開けると目の前に雨宮君の背中が見えた
「恵っ...」
「璃央、お前...なんでナイフなんか持ってんだよ...」
璃央ちゃんの手に握られているナイフには、血がついていた
「あ...雨宮君っ...!」
雨宮君を見ると左腕から血が滴り落ちている
傷が深いのか出血の量が酷い
「...全部...、全部あんたが悪いのよっ!!」
自制心を失った璃央ちゃんが声を荒げ再び手を振りかざすと、私は雨宮君に強く抱き寄せられた
「もうやめなさい」
そんな中、穏やかな声が私たちの耳に届いた
「璃央様!」
「恵っ!あゆちゃん!」
その後すぐに葵さんと武本君の声も聞こえる
目を開けると、背の高い紳士的な男性が璃央ちゃんの手を掴んでいた
「お父、さま...」