第14章 崩れゆく嘘[中]
8月12日
思い出の公園の前で梨奈は恵を待っていた
チビと出会ってから3年
公園の周りも随分変わってしまった
住宅やマンションが増え、周りの道は広げられ車の交通量が格段に増えた
「このまま...私たちも変わっていっちゃうのかな...」
ふと呟いた瞬間
道を挟んだ向こう側に璃央を見つける
その腕の中にはチビが抱かれていた
「璃央ちゃん!」
姿を見つけた瞬間、思わず声を上げた梨奈
笑顔で手を振る梨奈を見て
璃央は昔の梨奈を思い出していた
昔からずっと変わらない...
梨奈はいつでも私にあったかい笑顔を見せてくれる
「...梨奈」
「ニャア!」
梨奈の姿を見た途端、嬉しそうに鳴き声を上げ腕の中で暴れだすチビ
梨奈の元へと行きたそうにするチビを見て璃央は道路へと目を向けた
(今...ここでチビを行かせたら...)
途切れる事なく目の前を走っていく車
(梨奈はこんな中でもチビを助けるかしら...)
そう考えながら...
私は、チビを抱く腕をほどいてしまった...
「...チビ!!」
まっすぐ梨奈の元へと走っていくチビ
梨奈はこぼれそうな程目を大きく見開いて、チビを助けようと手を伸ばし駆け出した
私は...大切なものを2つ失った瞬間
瞬きもせずに、一部始終を見ていた