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恋愛玩具

第14章 崩れゆく嘘[中]







恵は胸を弾ませながら、あの公園へと急いでいた

いつも4人一緒だったから
梨奈と2人でどこかに行くのは初めてだ

駿も璃央も、俺たちに遠慮したのだろうか
2人して予定がある、だなんて...

「今度、何かお礼しないとな」

自然と口元が綻んでしまう

早く梨奈に会いたい気持ちを抑えながら走っていた足を速めると、前方に見知った顔が見えた

「恵様」

「...葵?」

こんな所に葵が1人でいるなんて...

疑問に思いながら、恵はその足を止めた

「璃央は一緒じゃないのか?」

「恵様は、梨奈様を引き止めはしないのですか?」

自分の問いを無視して問い掛けられた言葉に眉を寄せる

「このまま...4人で高等部へ上がる方法は無いのでしょうか?」

「梨奈が決めた事だ。俺にその意思を引き止める権利は無い」

率直に答える恵に葵は切なげに眉を下げた

「ですが...」

♪~

葵が何か言いかけた瞬間、葵の携帯が鳴り響いた

液晶画面を確認し耳に宛てがうと、すぐに葵の表情が険しいものになる


「梨奈様がっ...!?」






そこからの事は私も曖昧にしか覚えてない

救急車で運ばれていく梨奈を呆然と見て
病院に葵と共にやってきた恵は自分を見失うほど錯乱していた

ただ、梨奈の死の後に葵が私に静かに言った言葉は鮮明に覚えている

「...ほとぼりが冷めるまで、フランスへ戻りましょう。璃央様」


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