第14章 崩れゆく嘘[中]
『中等部を出たらフランスへ来るという約束だっただろう』
「お父様...」
受話器越しに聞こえる父の声に私はゆっくりと睫を伏せた
『初等部を出たら一緒にフランスへ行くという予定を、お前の願いで3年伸ばしたんだ。フランスで勉強してもらわないといけない事もある。分かるな?璃央。もしフランスに来ることが嫌なら、そのまま高等部へ上がりなさい』
恵と離れなきゃいけないの...?
全部...梨奈のせいで...
電話を切ると眉を寄せた葵が私の背中を見つめていた
「葵...梨奈をどうにか引き止められないかしら」
「璃央様...」
「私だけ仲間外れだなんて...」
絶対に、許さない
全部元通りに...なんて
そんな事は望んでなかった
私はただ...
梨奈の転校さえ、白紙になれば
それだけで良かったのに...