第14章 崩れゆく嘘[中]
恵たちの部活が終わって、私たちが待つベンチへと2人がやって来た
恵と駿の表情が曇って見える
私は2人を見た後、梨奈へと視線を向けた
「行こう」
梨奈の手をとった恵は無言のまま梨奈の手を引く
そんな2人の姿に胸が強く締め付けられた
駿と共に恵たちの後を追って着いた場所は、思い出の公園だった
「恵ちゃん...」
公園に着いても尚、恵は梨奈の手を強く掴んでいた
「転校するって...本当?」
低く呟かれた恵の言葉に辺りが静まり返る
新学期が始まってすぐに梨奈が転校するという噂が流れ、瞬く間に広まった
”璃央ちゃんが傷つく事はもうしないから”
前に梨奈から言われた言葉を思い出す
(梨奈は...私のために、消えてくれるのね)
ピリついた空気の中、璃央の口元には僅かに笑みが浮かんでいた