第14章 崩れゆく嘘[中]
「黙っててごめんね...」
「...っ!なんで、転校なんかっ...」
否定しない梨奈の言葉に、恵は振り返り眉を寄せた
「でもまだ先だよ。高等部には上がらないで、鳳翠(ホウスイ)高校を受験するつもり」
興奮している恵に対して梨奈は冷静だった
穏やかな声色に恵は切なげに顔をしかめる
「...そんな言葉を聞きたいわけじゃないっ」
恵の声が震えてる
梨奈が自分から離れていくと知って、自分を抑えられない様子だった
「なんで、わざわざ別の高校へ行くんだよ...。何か理由があるんだろ?」
「......」
自分の両親にも言わなかったんだもの
恵たちには絶対、自分から言えるはずがない
「イジメを受けてるのよ」
静寂の中、私の声が響いた
その言葉に恵と駿は驚きに目を見開いた
「なんで、梨奈がっ...」
今まで黙っていた駿も信じられないという様に呟いた