第14章 崩れゆく嘘[中]
目線を合わせるように屈んだ梨奈の父親は、優しく梨奈に問い掛ける
「梨奈、誰に嫌がらせを受けているんだ?」
その問い掛けに答える事なく、梨奈は視線を落としたまま唇を強く噛みしめた
「梨奈...。言えない相手なの?」
梨奈の母親も心配そうに眉を寄せながら首を傾げる
璃央も隣の梨奈へと視線を向けた
「...ごめんなさい」
俯いたまま小さく呟いた梨奈に、父親は眉を下げる
「辛い事を聞いて悪かったね...。1つ、提案があるんだが聞いてくれるかい?」
穏やかな父の声にゆっくりと顔を上げた梨奈は小さく頷いた
「別の学校へ転校してみないか?」
父親の言葉にその場が静まり返る
璃央も思わぬ提案に目を見開き驚いていた
「転校...」
「ああ。今の学校は高等部までほぼ同じ生徒が通うだろう。もちろん、梨奈の気持ちを一番に尊重するが...転校する方法もあるという事を考えてほしい」
その言葉に母親も頷き梨奈を見つめていた
そんな両親を見て梨奈は暫く黙った後、ゆっくりと目を伏せた
「...少し、考えさせてください」
「もちろん。ゆっくり考えて、梨奈が一番だと思う答えをまた聞かせてくれたらいいからね」
父親の優しい掌が梨奈の頭を撫でた