第14章 崩れゆく嘘[中]
「あれ?梨奈、足の痣どうしたの?」
サッカー部の練習が終わって戻ってきた駿の声に私は梨奈へと視線を向けた
「本当だ!どこかにぶつけたのかな?気づかなかった」
心配そうに眉を寄せる駿に対して、梨奈は笑顔で答えるとその痣を隠すように撫でた
梨奈へのイジメをあの女子たちに頼んでから数週間
私は、また以前のように梨奈たちと一緒にいる事が多くなった
日に日に体の痣が増えていく梨奈
誰にも言わず必死に耐えている梨奈を間近で見るのが堪らなく楽しかった
「昨日も違う所に痣出来てたじゃん。本当に...大丈夫?」
「ふふ、駿は心配しすぎだよ。それより恵ちゃんは?」
「あー...教室寄ってから来るって言ってたんだけど、また女子たちに捕まってんのかも...。ちょっと見に行ってくるよ」
梨奈と駿のやり取りを隣で聞きながら私の口元が僅かに綻ぶ
駿が去っていった後、ゆっくりと梨奈へ視線を向けた
「どうして駿たちに言わないの?」
「えっ...?」
突然の問い掛けに梨奈は瞳を大きくして私を見つめた