第14章 崩れゆく嘘[中]
「そうだよな...。でも、俺...動物アレルギーだし...」
駿が眉を下げ肩を竦める
「...俺は1人暮らしだから。十分に世話出来ないと思う...」
恵も小さく呟くと眉を寄せ目を伏せた
重くなっていく空気の中、梨奈の使用人が声を掛けた
「梨奈様...。恐縮ではございますが、そろそろ...」
使用人の手が梨奈からチビを取ろうと手を伸ばした瞬間
「私がチビを世話する!」
一歩、梨奈へと近づいた璃央が真剣な表情でそう告げた
「葵もいるし、皆も好きな時にチビに会いに来られるでしょ?」
にっこりと微笑んだ璃央に、梨奈が目を輝かせ抱きついた
「璃央ちゃんっ...ありがとう!」
大好きな皆に囲まれて
穏やかな日々を過ごしていた
でも、そんな日々はずっと続かなかった
中等部に進級してから
私と3人の歯車は少しずつ...ずれていった