第14章 崩れゆく嘘[中]
「梨奈...無理しないで」
身体を労わるように梨奈の肩に手を当てた恵が心配そうに顔を覗き込む
「大丈夫だよ。ありがとう、恵ちゃん」
梨奈の迎えが来て私たちは病院の玄関口へと来ていた
所々包帯が巻かれている梨奈の姿を見て、梨奈の家の使用人が驚いた様に声を上げる
「梨奈様っ!また無茶な事をなさったのですか!?」
「いつも心配かけてごめんなさい」
使用人の声に眉を下げ微笑むと、梨奈は小さく頭を下げた
頭を上げると腕の中の子猫へと視線を落とす
「皆...ごめん。私、チビを連れて帰れない...」
小さく呟いた声に使用人の視線がチビへと向けられた
「梨奈様...その子猫は」
「わかってる。お母さん、動物苦手だから...」
使用人の声を遮るように呟いた梨奈は振り返ると恵たちを見る
「でも...もう、公園には置いていきたくない...」
梨奈の言葉に皆が小さく頷いた