第14章 崩れゆく嘘[中]
「どうしてもチビを助けたかったの...」
チビを連れ去ったのは大きな野犬だったらしい
チビを咥えた野犬と遭遇した梨奈は1人でチビを取り返そうとして腕や足を噛まれ、怪我を負っている所を恵が助けたと駿から聞いた
「恵が来なかったら梨奈も危なかったんだよっ!?」
「皆で大切にしてた大好きな友達だから...。ごめんなさい...」
梨奈はいつもそうだ
自分を犠牲にして、いつも誰かの為に動くんだ
璃央は眉を寄せ唇を強く噛むと、梨奈の方へと歩き出した
「璃央っ!?」
「っ...!」
掴みかかりそうな勢いで梨奈へと近づく璃央を見て、駿と恵が目を見開き身を乗り出す
俯いた梨奈の目の前へと来ると私はチビごと梨奈を抱きしめた
「梨奈のバカ!もっと...自分の事も大事にしなさいよっ...」
「...璃央ちゃん」
「今度こんな事したら...許さないんだからねっ!」
梨奈を抱きしめながら涙を流す璃央の言葉に、どんな時も気丈に振舞う梨奈の目にも涙が薄っすらと滲みゆっくりと睫を伏せた