第14章 崩れゆく嘘[中]
「この子、置いてけぼりにされちゃったみたいで...。昨日ここで見つけたんだ。まだここにいてよかった...」
梨奈は震えている子猫を抱き上げると、手の中で鳴いている子猫を見て安堵した様に微笑んだ
「...その子猫、俺たちで育てられないかな?」
不意に響いた声
私の隣で恵の眼差しが優しく梨奈へと向けられていた
恵の言葉に梨奈の表情がとびきり輝いたものになる
「恵ちゃん...いいのっ?」
「うん。...璃央と駿は?」
梨奈と恵の視線が向けられて私も大きく頷く
「賛成!」
「駿は動物アレルギーだったよね?大丈夫...?」
梨奈が心配そうに駿を見つめる
大きなクシャミが響いた後、鼻をすすりながら駿はニカッと笑った
「...俺も、賛成!」
「皆...ありがとうっ!」
嬉しそうに微笑んだ梨奈の手の中で子猫も嬉しそうに鳴き声を上げた