第14章 崩れゆく嘘[中]
助けてくれた男の子に”ありがとう”が素直に言えなくて下を向くと、切られた自分の髪の毛が目に入って悲しくなる
でも...すごく嬉しい事もあった
日本に来て...ずっとバケモノだって言われ続けた私に”バケモノじゃない”って言ってくれた
「君は、なにも変じゃないよ」
「...っ!」
小さな小さな声だったけど
その声はしっかりと私の耳に届いた
顔を上げて男の子を見ると、男の子も私を見ていた
「君の髪も目も、ぼくはキレイだと思う」
ぶっきらぼうに放った言葉
恥ずかしそうにそっぽを向いた顔
それが、恵との出会い
私の初恋だった