第14章 崩れゆく嘘[中]
「どうしたの!?恵くん、何したの!?」
この状況だけを見たら、叩いた男の子が悪く見える
だから、先生は叩いた男の子に怒った顔をした
「こいつが、この子の髪を切ったから」
「...っ!?璃央ちゃん!」
私と床に散らばった髪
泣いている男の子の手に握られているハサミを見て先生は絶句した
「こいつらが悪いんだ。この子はバケモノなんかじゃない」
真っ直ぐな目で先生にそう言った男の子に私は目を見開く
「恵くん、璃央ちゃんを守ってあげたの?」
「...こいつらすぐ人のモノ取るし、前からキライだったから」
先生の言葉にぷいっと顔を背けて、男の子はムッとしたまま小さく呟いた
「璃央ちゃんを守ってくれてありがとう。でも、お友達を叩くのはだめよ?」
男の子は顔を背けたまま黙っていた
「璃央ちゃん、髪の毛...ごめんね?後で先生が何とかするから、ちょっとだけ待っててくれる?」
「...うん」
先生の温かい手のひらに撫でられて私は頷く
先生はにっこりと微笑んだ後、男の子3人を連れて教室を出て行った