第13章 崩れゆく嘘[上]
葵の元から戻ってきた駿は、ベンチの側に立っているあゆの姿を見つけると安堵の溜め息と共に肩を叩いた
「あゆちゃん、ごめん!置いて行っちゃって...。実はさ、葵が...」
ゆっくりと振り返ったあゆを見て駿は目を見開き言葉を詰まらせた
目に涙を溜めるあゆ
駿は何かあった事を悟ると表情を和らげ顔を覗き込んだ
「あゆちゃん、どうしたの?」
「武本君。私...もう関わらない方がいいのかも...」
「...どうして?」
俯いて弱々しく呟いたあゆの言葉に駿は眉を寄せる
明らかに様子がおかしい...
駿はあゆが璃央に会ったんだと確信した
璃央にとって、あゆは邪魔者
きっと優しい言葉なんて一切掛けるはずが無い
残酷な言葉で追い詰めたに違いない
今にも泣き出しそうなあゆを見て、駿は1人残した事を後悔した