第13章 崩れゆく嘘[上]
「璃央ちゃんの雨宮君に対する想いは本物だと思う...。でも、雨宮君も璃央ちゃんも辛い思いしてほしくない。だからもし、婚約の話がお互い納得のいく話じゃなかったら...2人共...」
「あなたって、バカね...」
「え...?」
「恵はあなたを苦しめた人なんでしょ?なのに、どうしてそうやって思えるの?」
「......」
璃央の問いかけに思わず黙ってしまう
そんなあゆを見て璃央は眉を寄せた
「恵が可哀相な人だから?」
「ちがっ...」
「独りぼっちで、誰の事もまともに愛する事が出来ない。哀れな人だから?」
「違いますっ!そんな事...」
「そう思われている方がよっぽど可哀相だわ。それとも、恵の事が好きなの?」
(雨宮君の事が、好き...?)
恵に対する自分の気持ちが分からず再び黙り込んだあゆ
胸の奥がもやもやする、この感情が分からない
苦しくて、切なくて、締め付けられる感覚に胸元をキュッと押さえる
「もし、そんな風に想ってるんだとしたら...良い事教えてあげる」